「電気ちゃん」・・・楠章子
(内容紹介)
超ダメ男「電気ちゃん」に拾われた16歳の家出少女・鳥子。
乳がんの宣告をされた26歳OLの寿寿。
凄腕の料理で男を次々と部屋に誘う38歳バツイチのきみ夜。
男性より女性を愛する超美人ホステス、紫。
「電気ちゃん」という奇妙な縁に引きよせられたのは、
生きることがあまり上手ではない女たち。
ひとりぼっちの魂をそっと包み込む五つの物語。
気鋭のスト―リーテラーによる鮮烈な渾身作!
(2014年に読んだ本)
楠章子さんの「電気ちゃん」
帯紙に記された“あさのあつこさん”の推薦文につられて読みました。
「魂が電気に触れたようだった。ぴりぴりと痺れる。
痺れたその後、じんわりと温かく、豊かになっていく。
そして、哀しくなっていく。
鳥子、寿々、紫、きみ夜、電気ちゃん。
一人一人の物語は孤独で異質で透明だ。
この哀しさ、この澄んだ哀しさは、いったいなんだろう。
そして、この強さは、なんだろう。
一人一人の孤独が絡み合い、もつれ合い強く鮮やかな色彩を放つ。
幼い鳥子がパレットの上に残した紫の色のようだ。
人のもつ、物語のもつ、哀しみと強さがここにある。」 ――あさのあつこ
不器用にしか生きれない電気ちゃんと鳥子
お互いの距離感を保つことで成り立っている二人暮らし。
その距離感が崩れることで鳥子はまたひとりぼっちになってしまう。
距離感を読むって時には難しく感じることもあるよね。
鳥子のように意地を張ったり、時には慣れ過ぎてしまったり…。
短編連作なのでサラリと読めました。
諸手を挙げて面白い!とは叫べないけれど
読み終えた後、不思議な余韻が残る本です。