本の国のアリス ー図書の庭Ⅲー

2000冊以上の読書日記より 1996年から現在までに 読んだ本の感想&あらすじを 過去から順に紹介していきます。

・伊坂幸太郎

「ペッパーズ・ゴースト」


「ペッパーズ・ゴースト」・・・伊坂幸太郎 (朝日新聞出版)

(内容)
少しだけ不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。 生徒の些細な校則違反をきっかけに、檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。 伊坂作品の魅力が惜しげもなくすべて詰めこまれた、作家生活20年超の集大成!

226f26d348d71315aed8dfe7d87ada52

未来を観て、人生を取り戻す

ある不思議な力を持つ中学教師の檀。
サークルとよばれるグループと檀先生が交差し、世界は変転を始める。

中学国語教師の檀にはある条件下で他人の明日が少しだけ観える特殊能力があった。
彼は生徒から、奇妙なコンビが暴れ回る小説原稿を渡される。
小説の二人組「ネコジハンター」とは一体何なのか。

父の言葉、悲観と楽観、猫と野球・・・
、未来と過去は絡まり、物語は加速していく。

小説を読む楽しさ、面白さに満ちながらうつむく人に前を向かせてくれる伊坂小説の決定版!
作家生活20周年超の集大成となる、一大エンターテイメント長編!
〜『帯紙』より〜

正しく、伊坂ワールド全開のエンターテイメント長編でした!久々に伊坂作品を読みましたが、個性的な登場人物に魅せられ、特にアメショーとロシアンブルーのやり取りが面白かった(やっていることは怖いけど…)
ニーチェの『永遠回帰』に影響を受けたサークルメンバーが起こす事件に檀先生が巻き込まれ、そこにネコジハンターのアメショーとロシアンブルーの二人まで絡んてきて物語はジェットコースターのように目まぐるしく展開していく!
ただ不藤鞠子の書いた小説は何だったのか?疑問が残り…全てが小説内の物語だったのかな?

「フーガはユーガ」


「フーガはユーガ」 ・・・伊坂幸太郎 (実業之日本社)

(内容)
常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、
そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。

フーガはユーガ

一年ぶりの新作長編は、不思議で、切ない。

僕たちは双子で、僕たちは不運で、
だけど僕たちは、手強い。
~『帯紙』より~

読後はなんとも言えない気持ちになりました
『帯紙』に「僕たちは不運で」とありましたが
本当に不運な二人・・・特に双子の兄・ユーガ・・・
本書の中で『オーデュポンの祈り』の名前と似ているね!?
と言われていましたが
ユーガはカカシの「優午」と同じような役回りだったのかな!?
とラストを読み終えたときにふと思いました
すべてがそのひとつの出来事へと向かって展開していた
そう思うとユーガとフーガの力にも納得がいく
「アレ」がないと成り立たない
最初から「優午」とユーガの運命は決まっていた!?

伊坂ワールド満載の物語でしたが
読み終えた後の爽快感はなかったです
伊坂作品の読後の爽快感が好きなので
本作のラストは少々残念・・・でもそれでも面白かったですよ
残念な!?ラストにも、そうなるしかなかったと納得 ^^;
「フーガはユーガ」切なかったです・・・『帯紙』にも納得



「AX アックス」


「AX アックス」・・・伊坂幸太郎 (角川書店)

(内容)
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、
爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズ
書き下ろし2篇を加えた計5篇。


「AX アックス」

最強の殺し屋は――恐妻家。
物騒な奴がまた現れた!
新たなエンタメの可能性を切り開く、娯楽小説の最高峰!
~『帯紙』より~

『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く殺し屋シリーズ!
「AX アックス」を読みながら過去作品との関係が見えて面白い
特に『マリアビートル』の東北新幹線の車内エピソードが
所々に挿入されているので『マリアビートル』を再読した気分に!?
主人公の「兜」を狙う殺し屋が『マリアビートル』の生き残りだったりね

3作品では「AX アックス」が内容的には一番ソフトだったかな?
ラストのオチは読みながら途中で気付いてしまいましたが
私が思った通りになったので満足して読み終えました
逆に克巳が!?だったなら最悪だったのでこのラストでよかったです(^^)


「残り全部バケーション」


「残り全部バケーション」・・・伊坂幸太郎 (集英社)

(内容)
人生の<小さな奇跡>の物語
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。
ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として
〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──
第一章「残り全部バケーション」他、五章構成の連作集。


残り全部バケーション

(2017年に読んだ本)
人生、まだ、続いていくから。
裏稼業コンビ「溝口」と「岡田」をめぐる全五章。~「帯紙」より

第一章「残り全部バケーション」
浮気をした父親のRHSにメールがきた
『適番でメールしてみました。友達になろうよ。
ドライブとか食事とか』
胡散臭いメールに、父は、母に命じられるがままに、
『友達になりましょう。こちらは、四十七歳の男です。
妻四十五歳、娘十六歳も一緒ですが、
それでもいいですか?』と返信を打った。

第二章「タキオン作戦」
『ああ、おまえやられちゃってるな、これ』
すぐ後ろから声がした。
え、と雄大は慌てて、振り返る。
大人の男がしゃがみ、シャツをめくって
雄大の背中を見ていたのだ。
『溝口さん、小学生相手に何やっているんですか。
服めくって。それ、まずいですよ』
『岡田、あのな、俺分かるんだよ。自分が子供の頃
親父に暴力振るわれていたからな。』

第三章「検問」
開いたトランクの中を見下す。
『さっきの検問の警察官、これ見なかったわけねえよな』
溝口は顎を触るようにし、首を捻った。
『これはまあ、明らかに、怪しいお金ですよね』
大田も、その巨大なゴム鞠にも似た身体を揺すり、言う。

第四章「小さな兵隊」
岡田君は問題児だ。クラスの女の子が言った。
岡田君が時折、びっくりすることをやるのは確かだ。
たとえばクラスの女の子のランドセル全部に
マジックで小さくいたずら書きをしようとしたり
学校の壁に青いペンキで長方形の模様を描いたり。
海外出張中のお父さんに電話で岡田君のことを話すと
アリババと盗賊のドアにバツ印をつける話から
『岡田君がやりたかったのはそれと同じかもしれないぞ』
お父さんの推理はすごい

第五章「飛べても8分」
当たり屋に失敗して怪我をした溝口の病院に
高田は毎日見舞いに来ており
その高田に常務が電話で
『一昨日、毒島さんが狙われた』
『毒島さんは無事だったんですか』
『いなかったからな』『どこにいたんですか』
『少し前から、毒島さんは、おまえが今いる、
その病院に入院してるんだよ』


伏線を張り巡らし一気に回収する
その爽快さは伊坂ワールドならではですね。
特に第五章「飛べても8分」は
どんでん返しのどんでん返し?
読後の余韻が心地良い。
でも第四章「小さな兵隊」が一番面白い!
岡田君に惚れてしまいました(^^)
岡田君にまたどこかで会いたいですね。


「サブマリン」


「サブマリン」・・・伊坂幸太郎 (講談社)

(「帯紙」~本文より)
「武藤、別におまえが頑張ったところで、
事件が起きる時は起きるし、起きないなら起きない。
そうだろ? いつもの仕事と一緒だ。
俺たちの頑張りとは無関係に、
少年は更生するし、駄目な時は駄目だ」
「でも」
うるせえなあ、と言いたげに陣内さんが顔をしかめた。
「だいたい陣内さん、頑張ってる時ってあるんですか?」
と僕は言ったが電車の走行音が激しくなったせいか、
聞こえていないようだった。


サブマリン

(2017年に読んだ本)
陣内さん、僕たち、挽回できますか?
『チルドレン』から12年。家裁調査官・陣内と武藤が出会う。
新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。~「帯紙より」~

『チルドレン』から12年後の「サブマリン」でも
陣内や永瀬と優子のカップルに出会えました。
永瀬と優子が夫婦になっていてなんだか嬉しかったです(^^)
陣内の奇行や無神経さは相変わらずで
でもここぞと言う時の陣内の言葉や行動が奇蹟を起こす!?
「サブマリン」も心温まる物語でした。

『チルドレン』は5編からなる短編集でしたが
「サブマリン」は、交通事故を起こした少年や
脅迫文を送った少年の調査を担当している
武藤の視点で描かれている長編です。

上司の陣内に振り回されてばかりいる武藤は
脅迫文を送った小山田俊にまで振り回され
無免許で死亡事故を起こした棚丘佑真の
調査報告をどうするかでも悩んでいた
棚丘が事故を起こした現場で
武藤は盲導犬をつれた永瀬と出会う
永瀬も陣内に乗せられて事故現場を訪れていた
全ての事件に陣内が絡んでいる!
というか頭を突っ込んでいる!?

少年犯罪を扱った内容でしたが
陣内のキャラクターのお陰であまり重くならず
時には思わず笑ってしまったり、心にジーンとくる場面もありで
最後まで伊坂ワールドを楽しませてもらいました。
とても面白かったです。
『チルドレン』もう一度読もうかな?




ギャラリー
  • 「アリアドネの声」
  • 「隠蔽捜査8 清明」
  • 「隠蔽捜査7 棲月」
  • 「隠蔽捜査6 去就」
  • 「隠蔽捜査5 宰領」
  • 「隠蔽捜査4 転迷」
  • 「隠蔽捜査3.5 初陣」
  • 「隠蔽捜査3 疑心」
  • 「大奥騒乱」
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール
名前:Alice
記事検索
最新記事(画像付)
カテゴリー
最新コメント
アーカイブ
  • ライブドアブログ