「水神」・・・帚木蓬生 (新潮社)
「水神(上)」
内容(「BOOK」データベースより)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、
稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
「水神(下)」
内容(「BOOK」データベースより)
ついに工事が始まった。大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。
そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、
命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。
故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。
(2016年に読んだ本)
今までにも様々な歴史小説を読みましたが
本書のような農民と庄屋の暮らしぶり、その苦難を描いた物語は初めてです。
身を粉にして働く農民の姿、五庄屋の貫いた信念、老武士の命懸けの嘆願、
涙溢れる感動の物語でした。