「カモメの家」・・・山下明生 

(「BOOK」データベースより)
第30回(1992年) 野間児童文学賞受賞。

瀬戸内の島にながれる
おかしくもかなしいカモメたちの鎮魂歌。


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(「1996年の読書日記」より)
第2次世界大戦が終わって、
やっと世の中が落ち着いた?頃の話。
主人公のアキラ少年をとおして、
本当に子供が子供らしかった当時のことが描かれている。
ノスタルジックな物語。
でも懐かしさだけではなく、
広島の原爆で被爆した少女ミィー。
そして兵隊になって帰ってきた精神を患ったヨッちゃん。
そのヨッちゃんが、誰からも見捨てられたミィーをつれて
アキラ少年の町に住みついたのですが
…間もなくミィーは死んでしまう。
ミィーの耳の中にあったガラス玉、
少年がミィーにプレゼントしたガラス玉で
ヨッちゃんがカモメの絵を描く。
(ガラス玉がカモメの瞳になっている)
その後、ヨッちゃんはカモメの絵を残して
少年の町からいなくなってしまった…。
少年は、二人の住みついていたカモメの絵の書かれた小屋に
カモメの家と名づけた。

広島被爆者への鎮魂歌になっている物語のようですが、
アキラ少年の眼を通して描くことで、
子供たちにも戦争の残した悲劇を
分かりやすく伝えているように思います