「この国で老いる覚悟」・・・高瀬毅 (ダイヤモンド社)

内容(「BOOK」データベースより)
日本人ひとりひとりが先送りにしている問題がここにある。
わたしたちが高齢化社会に求められるものは、
人間というものの存在を直視するまなざしなのではないでしょうか。

そこから、楽観でも悲観でもなく、
老いを受け止める「覚悟」が生まれてくるのではないかと思われてなりません。


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[目次]
第1章 母を殺したるものは
第2章 私物化された老人ホーム
第3章 夢うたかたのごとく
第4章 それでも親を看取りたい

(「1997年9月21日の読書日記」より)
4章からなるこの本では、
第1章、介護の末母を殺害してしまった娘の話。
この場合は兄姉たちの無理解に、
介護者が追いつめられた末の犯行だった。

第2章では、あるホームでの多量の薬による老人への過剰医療
個人の私利私欲の為に建てられた老人ホームの実態は
あまりにに杜撰でひどい…
内部から、そして老人本人からの告発。

第3章では、元作家であった一人暮らしの老人のルポ。
酸素ボンベを常時携帯しなくてはいけない老人は
何度か入退院を繰り返しているが、
ある病院での医療行為に対し不安を覚え、
一人暮らしの部屋へ結局もどっていく。

最終章は、
在宅介護を10年にわたって行っている、ある家族の話。
家族全員で、あるときは喧嘩をしながら
二人の老人の世話をしていく姿には心打たれる。


本書のタイトルにもなっている
「この国で老いる覚悟」を
正しく、突き付けた本であった。