「緑の川 風の市兵衛 弐㉔」・・・辻堂魁  (祥伝社文庫)

(内容)
北町奉行所定町廻り同心・渋井鬼三次の息子・良一郎が
幼馴染みの小春と失踪した。
書き置きから大坂への欠け落ちが疑われた。
腕利きの文六親分の下ッ引をつとめる良一郎が何故?
“鬼しぶ”と綽名される友の心中を察した市兵衛は、
若き日、算盤を学んだ大坂へ。
二人の捜索中、市兵衛は良一郎が探っていた、
大坂に本店を持つ騙りの噂が絶えない両替商を見つける…。

緑の川

「市兵衛、そろばんを学んだ大阪へー。」
《鬼しぶ》の息子・良一郎が幼馴染みの娘と大阪に欠け落ち?
同じ頃、商家の奉公人を狙う騙りの両替商が大阪から江戸に進出し・・・。
~『帯紙』より~

序章「難波新地の心中」で始まったので
大阪?市兵衛と過去の繋がりなのかな?と思っていましたが
鬼しぶこと町方の渋井の頼みで大阪へ行くことに
大阪で心中したお菊の妹が
鬼しぶの息子・良一郎の幼馴染み小春で
二人はお菊の弔いのために大阪へ行ったのか?
市兵衛は御用聞き見習いの富平と二人を連れ戻しに大阪へ行く
でも小春が何故育ての両親に詳細を告げずに大阪へ行ったのか!?
市兵衛は、お菊の弔いのためだけではないのでは!?と訝かっていた

冒頭の心中事件の詳細が次第に紐解かれ
小春と良一郎の目的が分かってくる、そのストーリー展開が見事でした
とってつけた理由ではなく読んでいる側もこれなら納得!

「風の市兵衛シリーズ各巻読み切りなのでとても読みやすく面白い
でも本作は㉔巻目とかなりの長編物なので
良一郎や小春の生い立ちもちゃんと前作までに描かれている
そのエピソード(伏線)を「緑の川」でパズルのピースを埋めるように見事に回収!
さすが、辻堂魁さん!
「風の市兵衛シリーズ前の作品を再読したくなりました!