本の国のアリス ー図書の庭Ⅲー

2000冊以上の読書日記より 1996年から現在までに 読んだ本の感想&あらすじを 過去から順に紹介していきます。

2020年05月

「祝祭と予感」


 「祝祭と予感」・・・恩田陸 (幻冬舎)

(内容)
また彼らに、会える。
大ベストセラー『蜜蜂と遠雷』、待望のスピンオフ短編小説集!


祝祭と予感

大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。

入賞者ツアーのはざま亜夜とマサルとなぜか塵が
二人のピアノの恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。

芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の
若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。

作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけになった
忘れ得ぬ教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。

ジュリアード音楽院プレ・カレッジ時代の
マサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。

楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏へ天啓を伝える「鈴蘭と階段」。

巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。
全6編。
~『帯紙』より~

『蜂蜜と春雷』のスピンオフ短編集ということだったので
コンクールのその後、続きを描いたのかな?
と勝手に思い込んで読んだのですが
6編の時間軸がかなりバラバラで・・・
「祝祭と掃苔」はコンクール後の話でしたが
他の5編はコンテスタントの物語だけでなく
その師匠やコンクール課題曲の作曲エピソードなど
時空を超えた物語でとても面白かったです
「袈裟と鞦韆」での菱沼忠明作曲「春と修羅」が
無性に聴きたくなりました♪


「そして、バトンは渡された」


 「そして、バトンは渡された」・・・瀬尾まいこ (文藝春秋)

(内容)
高校二年生の森宮優子。
生まれたときは水戸優子だった。
その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、
現在は森宮を名のっている。
名付けた人物が近くにいないから、
どういう思いでつけられた名前かはわからない。
継父継母がころころと変わるが、血の繋がっていない人ばかり。
「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、
親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。

「私には父親が三人、母親が二人いる。
家族の形態は、十七年間で七回も変わった。
でも、全然不幸ではないのだ。」

身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

「そして、バトンは渡された」

血の繋がらない親の間をリレーされ、
四回も名字が変わった森宮優子、十七歳。
だが、彼女はいつも愛されていた。
~『帯紙』より~


・キノベス!第1位(2019年)
・フタベス 第1位(2018年)
・2019年本屋大賞受賞

何度も出会いと別れを繰り返さないと行けない境遇って!?
それもその出会いと別れは一番近い父と母(継母と継父)
優子は辛い日々を送りグレてもしかたない
でも優子はどこまでもたくましい
それは子どもである自分の力ではどうしようもないことで
諦めるしかなかった、受け入れるしかなかった・・・
本書を読みながらどうしてもその思いが拭えない
とてもステキな物語ではあったけれど
登場人物が優子を筆頭にみんな懐が深くて
実の父水戸さん、梨花さん、泉ヶ原さん、森宮さん、
梨花さんと住んでいたアパートの大家さんも、
みんな優子の幸せを一番に願っている大人達
そんなステキな大人達が優子を大切に育てるというバトンを繋いでいく
それでも私にとっては優子の語られない寂しさが垣間見える物語でした
『優子、ピアノに(早瀬君に)出会えて良かったね』


「動揺 聡四郎巡検譚(三)」


 「動揺 聡四郎巡検譚(三)」・・・上田秀人 (光文社時代小説文庫)

(内容)
将軍徳川吉宗が何者かに襲われた!
襲撃した者たちを追及した結果、衝撃の真相が明らかになる。
一方、道中奉行副役として東海道を巡検し、
ようやく京へ入った水城聡四郎。
吉宗から「世間を見て来い」と言われたものの、
京での具体的な指示はないため、まずは京を見て廻ることに。
しかし、そこから京の狐狸妖怪たちが蠢きだす―。
ますます好調のシリーズ第三弾。

動揺 聡四郎巡検譚 三

旅はついに古都へ!
「上様は幕政だけでなく、
 朝廷も変えられようとなさっておられるのやもしれぬ」
京の狐狸妖怪が聡四郎を待ち受ける!
吉宗の命で、京へ入った水城聡四郎。
そこには新たな「敵」がー。
~『帯紙』より~

聡四郎巡検譚(一・二)が前シリーズ『御広敷用人』の続きのようで
少々マンネリ気味に・・・でも(三)はかなりの展開があり面白かったです
まぁ、聡四郎の敵が伊賀忍から京の奉行所に変わった!?
(四)が楽しみです(^^)


「鬼はもとより」


「鬼はもとより」・・・青山文平 (徳間文庫) 

(内容)
どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、
藩札掛となった奥脇抄一郎は命を賭すにたる御勤めと確信。
飢饉の際、藩が命ずる実体金に合わない多額の藩札刷り増しを拒み、
藩札原版を抱え脱藩。
江戸で、表向きは万年青売りの浪人、
実はフリーの藩札コンサルタントとなった。
各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。
次第に藩札による藩経済そのものを大本から立て直す仕法に至った矢先
東北の最貧小藩から依頼が…。
剣は役に立たない時代、武家が穀潰しでなくなる方策とは?
三年で赤貧の小藩に活気ある経済状況をもたらしうるか!

「鬼はもとより」

「藩を救うためには鬼となる!」
剣が役に立たない時代、武家はどう生きるべきか!
家老と藩札万指南の浪人が、最貧小藩の財政を
根本から立て直すため、命を懸けて挑む。
~『帯紙』より~

青山文平さんの著書を初めて読みましたが
とても読みやすく面白かったです。
主人公の奥脇抄一郎のキャラクターがいい!
最初は軽いやつ!?と思っていたら
なかなかの苦労人で人情味もありその上頭も良くて
主人公が魅力的だとイメージが浮かびやすいのよね(^^)

「鬼はもとより」のタイトルにもなった鬼は
最貧小藩を立て直すため鬼にならざる得なかった・・・

本書は面白いだけではなく勉強にもなりました!
藩札を刷って藩政を立て直すって、どうやって?
その疑問に分かりやすく抄一郎が解説している
日本史の勉強にもなりますね(^_^)v



「宝島」


「宝島」・・・真藤順丈 (講談社)

(内容)
 英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。
固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。
生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。
少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり
―同じ夢に向かった。
超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!

宝島

第160回 直木賞受賞
第9回 山田風太郎賞受賞
2冠達成!
『基地から持ち出された"予定外の戦果”と"英雄の行方”
奪われた沖縄を取り戻すため、少年少女は立ち上がる。
~『帯紙』より~

読みながら言葉では表せないほど衝撃を受けました
当時の沖縄にタイムスリップしたかのように
物語の中へと惹き込まれ・・・目の前に突きつけられた事件・事故
その描写に怒りや哀しみと同時に
沖縄のその後を知っているモノの諦め、そして悔しさ・・・
さまざまな感情が押し寄せてくる

実際に復帰前の沖縄で起きた米軍人(軍属)による
事件事故が描かれており
(交通事故(ひき逃げ)や強姦・暴行・殺人)
1959年宮森小学校米軍機墜落事故
1967年教公二法阻止闘争
1969年知花弾薬庫で毒ガス漏れ
1970年コザ騒動
1971年毒ガス兵器移送(レッドハット作戦)
登場人物も
屋良朝苗主席(初代沖縄県知事) 
瀬長亀治郎さん(那覇市長・国会議員)(最初の登場シーンは収監された刑務所)
又吉世喜さん キャラウエイ高等弁務官など実在の人物も多数登場

架空の登場人物、グスク、レイ、ヤマコの生き様を
実際の出来事を絡めながらまるでフィクションのように描いていて

(ウチナーグチにこだわっていたので方言を知らないと読みづらい!?)
冒頭ではそう思いながら読んでいましたが
途中から方言だろうが標準語だろうがどうでもいいや!と
物語の先が知りたくて一気読みでした^^;


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