本の国のアリス ー図書の庭Ⅲー

2000冊以上の読書日記より 1996年から現在までに 読んだ本の感想&あらすじを 過去から順に紹介していきます。

2019年10月

「熱帯」


「熱帯」・・・森見登美彦 (文藝春秋)

(内容)
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。
そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。

この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、
奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。
そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、
この言葉の真意とは?

秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、
鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。

幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!

「熱帯」森見登美彦

「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」
幻の本をめぐる、大いなる追跡が始まった!
謎を追い、謎に追われて、大航海!
 我ながら呆れるような怪作である――森見登美彦
~『帯紙』より~

物語の中盤までは夢中で読み進めましたが
途中からペースが落ちてしまい・・・!?
「『熱帯』この本を最後まで読んだ人間はいないんです」
私まで暗示にかかってしまった!?
それでもどうにか最後まで読むことが出来ました^^;
中盤部分は読むのが苦行に!?
でも最後まで読んだらもう一度最初から読みたくなり
面白いと声を大にしては言えないけれど
不思議な魅力のある物語でした


「分かれ道ノストラダムス」


「分かれ道ノストラダムス」・・・深緑野分 (双葉社)

 (内容)
高校生のあさぎは、2年前に急逝した友人の基が遺した日記を譲り受ける。
ある記述をきっかけに、彼が死なずに済んだ可能性を探ることにしたあさぎ。
基の死は、ずっと心のしこりとなっていたのだ。
クラスの男子・八女とともに、基の死の直前の行動を再現してみるが、
そんなふたりを追う影があった…。
一方、町では終末思想に影響された新興宗教団体の信者が、
立て続けに謎の死を遂げるなど、不穏な動きを見せる。
教団とあさぎたちの目的は、しだいに思いも寄らぬ形で交わってゆく。
特別な意味をもつ夏、高校生のふたりが呑みこまれてゆく歪な世界。
そこで、彼らは「分岐点」に立たされることに―。

分かれ道ノストラダムス

人類は滅亡する――。
ノストラダムスの大予言が取り沙汰される99年夏、高校生のあさぎと八女は、

あさぎの初恋相手が死なずに済んだ可能性について探り始める。
町では終末思想に影響された新興宗教団体の信者が謎の死を遂げる。
果たして、あさぎたちが呑みこまれてゆく、ある邪悪な計略とは?
展開予測不能の青春ミステリー。

本作「分かれ道ノストラダムス」も面白い物語でしたが
『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』があまりにも凄かったので
その2作と比べるといまひとつ・・・でもそれは2作品が凄すぎたからで
本作品はどちらかというと先が読めない面白さでぐいぐい引っ張ってくれる
読み始めると止まない!ジェットコースター的な面白さでした(^^)

読みながら主人公・あさぎの無鉄砲さに大丈夫!?と心配になるのだけれど
八女君がどうにかしてくれるよねと何となく楽観させてくれる
あさぎ、しっかり者の八女君が側にいてくれてよかったね!
終末思想のカルト教団や殺人事件、それに巻き込まれてしまう主人公
でもドロドロになりそうなエピソードを巧くまとめていて
読後は思いのほか爽やかでした。


「風と行く者ー守り人外伝」


「風と行く者ー守り人外伝」・・・上橋菜穂子 (偕成社)

(内容)
 つれあいのタンダとともに、久しぶりに草市を訪れたバルサは、
若い頃に護衛をつとめ、忘れ得ぬ旅をしたサダン・タラム〈風の楽人〉たち と再会、
その危機を救ったことで、再び、旅の護衛を頼まれる。
シャタ〈流水琴〉を奏で、異界への道を開くことができるサダン・タラム〈風の楽人〉の頭は、
しかし、ある事情から、密かに狙われていたのだった。

ジグロの娘かもしれぬ、この若き頭を守って、ロタへと旅立つバルサ。
草原に響く〈風の楽人〉の歌に誘われて、バルサの心に過去と今とが交叉するとき、
ロタ北部の歴史の闇に隠されていた秘密が、危険な刃となってよみがえる。

「風と行く者ー守り人外伝」

本作は「守り人」シリーズの番外編です
タンダと暮らす中年になったバルサの前に
偶然現れたサダン・タラムの人々
その護衛に付いたことでバルサは
ジグロと共にサダム・タラムと旅した
娘時代の日々がよみがえってくる
ジグロとバルサの回想シーンが挿入されたことで
ジグロがどんなにバルサのことを大切に思っていたかが伝わり
ジグロの厳しくも温かな父性を感じられた物語でした
でも当のバルサは少々勘違いしていて!?
早くタンダに会いたかったのは分かるけど
その誤解はいつか解けるかのかしら!?

「ベルリンは晴れているか」


「ベルリンは晴れているか」・・・深緑野分 (筑摩書房)

(内容)
1945年7月。
ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、
ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、
ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、
彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。
しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――
ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。

「ベルリンは晴れているか」

大ヒット『戦場のコックたち』(直木賞、本屋大賞候補作)を超える衝撃!
 第二次大戦直後のドイツを舞台にした圧倒的スケールの歴史ミステリ

戦争が終わった。瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か
ヒトラー亡き後、焦土と化したベルリンでひとりの男が死んだ
孤独な少女の旅路の果てに明かされる真実とは――
読後、きっとこのタイトルに心が震える。』
~『帯紙』より~

深緑野分さんの作品を読むのは本作で3作品目ですが
凄い!の一言に尽きますね!
読みながら、終戦当時のベルリンに暮らし
その惨状を目の当たりにしている気分に!?
そう思わせてしまうほど物語の描写がリアルでした
ストーリー展開にもとても惹き込まれていきましたが
ラストの告白に"エーッ!?”それは有りなの?と
アウグステがエーリヒに会うためには
必要なことだったのかな!?とも思いましたが

読む人によって解釈は分かれるかもしれませんね!?

『戦場のコックたち』と同様に
本作「ベルリンは晴れているか」もホント凄い作品でした
深緑野分さんから目が離せない!
未読の『分かれ道ノストラダムス』も是非読みたいです(^^)


「ある男」


「ある男」・・・平野啓一郎 (文藝春秋)

(内容)
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、
「ある男」についての奇妙な相談を受ける。

宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、
夫と別れた過去があった。
長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、
新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。
悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が
全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。

里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。

ある男

『愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!

その偽りは、やがて成就した本物の愛によって赦されるのであろうか?

愛にとって過去とは何か?
幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「ある男」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。』
~『帯紙』より~

平野さんの本を初めて読みましたが
一気読みでした!面白かったです!

事の発端は、事故で亡くなった夫のことを家族に連絡したことで
亡くなった夫はその家族とは全くの別人だ・・・そう告げられた
『夫は誰なの?』
まるでTVのサスペンスドラマみたい!?と思いながら読んでいたのですが
2時間ドラマのような軽い内容ではなかったです^^;
家族との哀しい別れ、不幸な生い立ち、ヘイトクライム、いじめ、なりすまし・・・

ラストで里枝が自問するシーン
『一体、愛には過去は必要なのだろうか?』
本書を読みながら、なぜか東野圭吾さんの著書『手紙』が頭に浮かんできました
2作品は
まるで違う内容ですが・・・浮かんできたのはしょうがない^^;

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