本の国のアリス ー図書の庭Ⅲー

2000冊以上の読書日記より 1996年から現在までに 読んだ本の感想&あらすじを 過去から順に紹介していきます。

2014年02月

「灰谷健次郎と話す」1979~1981

「灰谷健次郎と話す」1979~1981
            ・・・灰谷健次郎、他 (理論社)

熱い対話


(「1997年の読書日記」より)
澤地久枝さんや、小宮山量平さん、
八代英太さんetc…の方々との対談集。
その中で、
小宮山さんとの『「兎の眼」との出会いから』の項で、
教育について話されているくだりがあり、
“ 今ほど子供の問題(教育)が大騒になったことはない。
口を開けば、金属バットの問題から始まって、
泥棒、放火、学内暴力。
一つは社会悪の方から、
一つは狭く教育の退廃から説明する。
その中で一番抜けるのは、
子供達がどんなに悲しんでいるかという問題です。
一番成長したがっている子供の成長が抑えられている悲しみです。…略。”

小宮山さんの言葉に対して、灰谷さんは
“子供の悲しみというのは、
大人たちが悲しむより、
もっと深いんやという
子供の喜びというのは、
大人達の喜びより、
もっと深いんやという、
そういうふうに考えたならば、
僕達は子供とつながるというとき
子供の領分を侵す人間として立てるはずがない。
お互いに領分を荒らしてしまうという形では、
何も出てこないんです。”


問題が起きたとき、
司直にすぐ頼ってしまう教師、学校
学校は、教育現場ではなく、
工場と化している!?
そういう問いかけ
…悲しいけど自らの過去を振り返っても
反論ができない…ただ、
その頃(子供時代)は気付かないだけ、
子供にとって(特に小学生まで)
教師は絶対的であり、憧れであり
面と向かって(どんな仕打ちを受けても、本質的な所で)
反発出来ない人
そしてたとえ傷つけられても、
心から嫌いになったり出来ない人…
その事の重大さを教師は知っているのだろうか…。



「知ったかぶり音楽論」

「知ったかぶり音楽論」・・・三枝成彰 (朝日新聞社)

内容(「朝日新聞社」より)
知ったかぶりでいい。
日本人も国際舞台で、
文化について欧米人と
対等に話せる知識を持つべきなのだ”。
たくさんの人々を踏み台にして芸術は花開いた、
大作曲家は「とんでもない人たち」だった、など。
三枝流・独断と偏見のクラシック音楽入門。


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(「1997年の読書日記」より)
ベートーヴェンの「運命」が、
日本だけのタイトル…だとか、
ワーグナーのオペラや、
ショパンについて等々…。
著者独特の音楽論や
知識を披露してくれているので
興味深く読めた。
ただ、「知ったかぶり」をするにしても、
生の音楽を(CDやDVD)聴くに
優ることはないですね。


「マイ・フレンズ」

「マイ・フレンズ」・・・黒柳徹子 (新潮社)

内容説明(「BOOK」データベースより)
トットの12人のお友達は、
みんな不思議な力の持ち主です。

「王様と私」の舞台を4625回も演じた
ユル・ブリンナーさんの手が知的で芸術的なこと。
「いつまでも美しくいなさいよ」と言った
劇作家テネシー・ウィリアムズさんの言葉。
向田邦子さんの悲しい8月の死と電話の思い出。

トットと同じようにあなたにも、
愛と美と勇気を与えてくれる素晴らしい友情の書です。   


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[目次]
・ユル・ブリンナーさん
・テネシー・ウィリアムズさん
・フィリップ殿下
・ブロードウェイの森繁、ゼロ・モステルさん
・アラン・ドロンさん
・越路吹雪さん
・リリイ・スタンズィさん
・Mr.スター
・もう一度ユル・ブリンナーさん
・向田邦子さん
・メリーさん
・坂本九さん
・渥美清さん

(「1997年の読書日記」より)
黒柳さんの交友の広さ、
活動の深さ(広さ)を、
あらためて知らされた。
ユル・ブリンナーさんをはじめ、
テネシー・ウィリアムズさん
日本人では、越路吹雪さん、坂本九さん、
渥美清さんと、凄い面々である。
数いる友の中から、
今回は12人の方々のお話を紹介している。
とにかく、人物描写が素晴らしい!
そして、本書を読んでいると、
映画のスクリーンを見ているかのように
心の中に、映像が浮かび上がってくる。
前回読んだ「欠落帳」とは、味わいがかなり違うけど
この本には、人間味溢れる豊かさがあり、
とても面白く読めた。



シュタイナー教育を考えるー「自由への教育」を求めて

シュタイナー教育を考えるー「自由への教育」を求めて
                     ・・・子安美知子 (学陽書房)

(内容紹介)
なぜテストがないのか、
なぜ8年間担任制なのか。

本書は、シュタイナー学校の
1年生から8年生までの授業を
実際のエポックノートによって丁寧にたどっていく。

教育者が、
畏怖の心をもって子どもを受け入れ、
その子どもの成長に必要なことを、
子ども自身から引き出し
愛をもって教育するとき、
子どもは内側から輝き、
教育はひとつの芸術となり、
癒しとなるのだ_。
著者により語りつくされる、
シュタイナー教育の真髄。

“子どもが、自分で自分をしっかりととらえ、
 いちばん深い内部の欲求から自覚的に行動すること”
それを妨げているのは、

①外の世界が、子どもにとって抽象的なものになっている。

②子どもは、大人のゆるぎない支えを求めているのに、
 大人が自信をなくしている。

③教育機器という「にせもの教師」が、
 生身の人間から発するはずの絆を断ち切っている。

④早期の知育偏重が、子どもの感情発達を妨げている。

⑤幼いうちから「自己で判断しなさい」と言い過ぎ、
 子どもに偽りの自意識を強要している。

⑥動物実験の結果をあてはめたプログラム等が、
 子どもの個性的成長の道を閉ざしている。


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(「1997年の読書日記」より)
子安さんの著書は、
シュタイナー教育を学ぶことで
教育の本質を知ることができるのでは、
と思わせてくれる本でした。

ただ、今の日本の現状で、
厳格にシュタイナー教育を実践することは
とても難しいようである。
まず教育内容が、
日本の教育システムとまるで違うので
学校としての認可が下りない。

シュタイナーの生まれた時代から
100年以上もたっているため
素晴らしい教育理念でも、
現代社会独特の(テレビ等)障害が
その理念の実践を妨げる。等々…。



「テッちゃん先生はろくおんてーぷ」

「テッちゃん先生はろくおんてーぷ」・・・宮里テツ (新日本教育図書)

(「BOOK」データベースより)
先生ひとり占め!
いじめも落ちこぼれもない僻地校。
教師と子供たちの人間的触れ合い に
教育の原点を見る―。
博報賞に輝く国語教師の著者が
日本最西端の離島与那国島をはじめ、
西表島、石垣島などの僻地校で実践した音読指導、
全校学習、作文教育の感動的記録。   


(「1997年の読書日記」より)
宮里先生が、小学校の教師として
子供たちとのふれあいを綴った本。
沖縄県の石垣島に生まれ、
戦前は天皇は神の教育。
“欲しがりません、勝つまでは” 
の精神で、終戦までの教育を受ける。
そんな宮里先生が教職を選んだきっかけは、
新任教師に配給される白いスーツと白い靴が欲しくて
…先生になった、とのこと。
マラリヤ熱で父母を亡くし、
苦しみのなか教師となり、
島の子供たちと過ごすうちに教職を天職と志、
国語教育の研究に日々励んだ。
今日の学校でも、
メモ日記なる先生と生徒の交換日記?的な学習があるが、
それを始めたのが宮里先生であると本書を読んで知った。

それにしても、教師の心の底からの思いで考え出された、
その教育方法は、やはり教師の情熱、
子供たちへの真の愛情があってからこそ
生かされていくのだなと、つくづく思う。
指導要領に沿って、
型にはめてメモ日記?なるものを行っても、
心のふれあいは少ないのでは?



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